雨にもマケズ

親子2代にわたって掴んだ「日本一」の栄光

世田谷区 高橋昌美さん 高橋綾子さん

 (株)東京オーキット・ナーセリーの代表取締役である高橋昌美さんは、世田谷区船橋にある本社と山梨県北杜市にある山梨農場を行き来しながら、ランの栽培に情熱を注いでいます。船橋で代々農業や花卉販売を営んできた高橋家の3代目として平成元年に就農し、2年後にお父さんの靖昌さんと共に山梨農場を立ち上げました。

山梨農場はもともと雑木林の土地で整えるところから始まり完成までの道のりは険しかった

 そこはもともと雑木林の土地で整えるところから始まり完成までの道のりは険しかったそうですが、今ではその日照量の多さと水のきれいさでランを育てるのには最高の環境となっています。

高橋さんのこだわりは、ランの最新花をつくるため交配から行うこと

 交配している農家は日本では2~3軒ほどで、かなりの少数派。山梨農場にラボがあり、無菌室や、発芽・促進を促し栽培環境を整えるための部屋など様々な設備を駆使しながらこだわりの1輪を育てています。今までに交配した種の数は、ゆうに5500種を超えます。

ランを栽培する際にいちばんの問題となるのが夏の暑さ

 普通の土ではいくら水をあげても鉢内の温度が高まってしまい、花の成長が止まってしまうので、高橋さんは保水力・通気性・排水性がバランスよく備わっている水苔を使われているそうです。他にも潅水システムを活用し、多くの苗にバランス良く水と肥料をあげられるような仕組み作りをしています。

 2月下旬、東京ドームシティで開かれた「世界らん展2023‐花と緑の祭典‐」世界らん展2023 —花と緑の祭典—(event-td.com)で、高橋さんの「Paph. Emerald Future ‘Green Monster’(パフィオペディラム エメラルド フューチャー‘グリーン モンスター’)」が、最優秀賞にあたる日本大賞を受賞しました。

 出品総数は、517作品。2016年には靖昌さんも獲得した名誉ある賞で、親子2代に渡っての快挙となりました。高橋さんは「受賞した花はもともと出品するつもりではなく、搬入の日にふらっと入ったハウスでたまたま目に付き、1万輪の中から選んだもの。良い花が咲いたときにちょうど品評会があるわけではないので、今回はタイミングが良く不思議な縁を感じた」と当時を振り返ります。「世界らん展」の会場に飾られた高橋さんのランは、ほんの1輪とは思えないほどの存在感と美しさを放っており、多くの来場者を虜にしていました。

「後輩たちが楽しみながらランの販売ができる場所づくりをすることが今後の目標」

 「イベントを増やして次の世代が自信をつけられるようにしたいのと、コロナ禍で停滞していた海外での販売も再開していきたい」と今後を抱負を語る高橋さんからは、ランに対する深い愛情を感じました。

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