雨にもマケズ

父から受け継いだ大切な畑を守る

中野区 早舩 智彦さん

父から受け継いだ大切な畑を守る

 中野区で農業を営む早舩智彦さんは、2カ所の畑(約30a)で、ナスやエダマメ、サツマイモ、ブロッコリー、カリフラワー、ニンジン、ダイコンなど様々な野菜を露地栽培しています。工務店で設計の仕事に従事し、ご自身の家も設計に携わった早舩さんでしたが、お父さんの逝去を受け就農を決意。「生前父から『好きな仕事をしてくれ、ただ何かあった時は頼む』と言われていたので、いつかは、と思っていた」と優しい表情を浮かべながら話をしてくださいました。現在は奥さんとお母さんの3人でお父さんから受け継いだ大切な畑を守っています。現在はJA東京中央杉並中野地区青壮年部の部長を務め、食農教育など都市農業の振興を図る活動にも力を注いでいます。

手間を惜しまない栽培方法で「東京エコ25」を申請

 早舩さんは今年度、エダマメとジャガイモで東京都エコ農産物認証制度の「東京エコ25」を申請しました。以前から化学合成農薬と化学肥料を削減するために、土づくりには牛ふんを使ったり、小まめな除草や防虫シートで野菜に虫が付かないようにするなど、手間や苦労を惜しみませんでした。ダイコンの新芽の成長点を食べる虫が発生した時は、小さな苗を1本1本確認し、虫をピンセットで駆除することもありました。
 また、ヨトウガという害虫を駆除するため、メスの匂いのする薬剤を使ったフェロモントラップを活用し、オスの個体数を減らして葉物野菜に卵を産ませないようにするという工夫もされています。装置の効果もあり、毎年あった被害がだんだんと少なってきており農薬の軽減にしっかりと繋がっているそうです。
 「朝早い時間から母と妻が畑の雑草を取ってくれている。雑草があると虫もついてくるので、夏の暑い日は心配だけど、とても助かっている」と小まめに畑の手入れをしている様子が伺えました。そのため「東京エコ25」を申請するために、特別に栽培方法を変えることは無かったそうです。

「おいしい!」がモチベーション

 「今年が上手くいったからといって、来年も上手くいくとは限らないのが農業。それでも、採れたてや旬の野菜のおいしさを知ってもらいたいので、お客さんと直接お話することを一番大事にしている。『おいしい!』と言ってもらえることがモチベーション。農家をやっていてよかった」と笑顔で語る早舩さん。野菜は庭先直売所とファーマーズマーケット荻窪に出荷しており、お客さんとコミュニケーションをとる中で「どんな野菜が食べたいか」などをリサーチし、自身の農業経営に取り入れています。最近では、主婦の方から「モロヘイヤの茎を取った状態で販売してほしい」との意見があり、リクエストに応える形で出荷しているそうです。

中野区農業の良さを伝えていきたい

 早舩さんは「中野区には農地が少ないけど、頑張っている農家が居るんだということを知ってもらえたらうれしい。近隣の農家と中野区の小学3年生の社会科見学を受け入れたり、今年は初めて中野区のイベントに参加し、地場産野菜を販売したりと都市農業をPRする機会にも恵まれた。これからも農家仲間と力を合わせて中野区農業の良さを伝えていきたい」と力強く語り、今後の取り組みに意欲を見せました。

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