雨にもマケズ

試行錯誤の20年 きれいな花を多くの人に届けたい

杉並区 坂井清人さん

20種類の季節の花を年間約8万ポット出荷する花農家

 坂井清人さんは、杉並区にある26.7aの畑でハウス4棟と温室2棟の施設を活用し花苗を育てています。一緒に農業を営むのはお父さんの雄治さんとお母さんの寛子さんで、雄治さんの代に野菜から花へ栽培作物を転換。現在は、20種類の季節の花を年間約8万ポット出荷しています。

30歳で就農、独自に販路を拡大し自慢の花を多くの公園へ

 坂井さんが就農したのは30歳の時で、植物や花の知識が無いため研究と試行錯誤の毎日を過ごされたそうです。栽培に多くのコストがかかり、年間30万ポットを販売しないと経営が難しくなると言われるほど厳しい花農家の世界ですが、土をポットに入れる機械を使いながら省力化を目指し、販路も独自に拡大。都立公園や区立公園などの花壇花として出荷しています。その分、海沿いにある公園や日当たりが良すぎる場所に花壇があるなど様々な栽培条件に合わせて丈夫な苗を作っています。

春・夏用の苗は土が乾きにくいように、秋・冬用の苗は土が乾きやすくなるように土づくりも工夫

 「栽培に時間がかかってしまうが、1度咲いた花を摘んで成長速度を落として根を充実させるなど簡単には枯れない苗づくりを目指している」と額の汗をぬぐう坂井さん。春・夏用の苗は土が乾きにくいように、秋・冬用の苗は土が乾きやすくなるように土づくりも工夫しています。ところが、今年は夏場の気温が非常に高く、本来ならば8月のお盆過ぎに秋・冬用の苗を準備するはずが夜も気温が下がらなかったため、例年通りの作付け計画では上手くいかず苦労したとのことです。それでも、坂井さんの花を見て「キレイ!」と言ってくれる声をモチベーションに、暑さに負けず栽培を勧めています。

「地域と共に歩む農家でありたい」

 坂井さんは「地域の人からも花や緑、畑を良いものと認識してもらっているので、先祖代々の農地を次世代に残していけるよう農業を続けていけたらと思っている。地元の町会や商店街などでも花苗を使ってもらっているので、これからも地域と共に歩む農家でありたい」と笑顔で語ります。

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